住み慣れた部屋をなくして、散らかった思い出を灰にしても、私は生きていけるだろうか。
帰る場所なんていくらでもあると思っていた。落ち着いて呼吸できるだけの安心を、与えてくれる人がいて。冷たい指をあたためてくれる人がいて。それだけで、笑っていられると思った。けれど。
ほんの少し地面から浮かんでいるみたいな、ひどく不安な気持ちの中にいる。すぐにでも転んでしまいそうで、泣いてしまいそうで。
どんなに大切なものも、いつかは捨てなければいけないんだろうか。駄々をこねて抱き締めていても、離れていってしまうんだろうか。
今、とても、暗いところに立っている。