珊瑚


海底に寝転んで
ゆれる波の向こうに太陽を見た
乱反射しながら降り注ぐ光の渦を
魚の影が横切って泳ぐ
無音の世界


零れた吐息はちいさな水泡に
溢れた涙はちいさな生命に
産まれては還る
そしてそれを眺める


目を閉じれば世界になれる気がした
それは嬉しくてけれど恐ろしくて
だから最期の時までずっと見ていよう
光と影と揺らぐ水面
僕の心が海を包むまで。