めもめも。


 「愛している」と口に出して言える幸福と。呟いた言葉が白く濁っては空へとけていく景色はひどく儚げで美しいと思う。今この時を同じ空の下で生きていること、たとえ出会うことはなくても同じ言葉を唄い続けられること、大切に思う気持ち、そのすべてに感謝を。単調な日々でもこうしてまた新しい一日を迎えられる、それはなんて、切ないことだろう。何度も呟く言葉、振り向こうとする後姿、酷く楽しそうに微笑む口許に甘いキス。左手に温もり、右手に希望。昇る光に祝福を。


「いつか、また」
不確定な未来。きっと訪れる事のない未来。知っていて尚、信じたいと思う未来。




(めもですから、思いつくままに書き留めているだけで、深い意味はきっと無いです。うーん…あれですね。寂しいんでしょうか。一人で眠るのが?)


滑稽ですね、と彼は笑った。
「けれど、」
あなたが望むなら抱き締めて差し上げますよ、と。
底の知れない笑みを浮かべた儘、ふわりと手を伸ばす。
「子供扱いは、やめていただけますか」
これは失礼、と楽しそうに言いながら、頭を撫でる手はそのままで。
言葉とは裏腹に、優しい手が心地よくてそれ以上は云えなかった。
偶にはいい。こんなのも。



(うぅ…餓えてますね。涸れてんのか。何にって、それは…愛?笑)
(今日バイトなのに…さっさとシャワー浴びて寝ましょうね。)