歯痒い!

零時過ぎに悪友から着信。
普段電話しないから鳴る度にびびってしまう。
なんのために携帯持ってんの自分(^^;
てなわけで出る。
自室は場合により圏外なので窓際にへばりついた。寒い。
「よう、どうした?」
『…あー、元気だった?』
嗚咽混じりの声。泣いてんのか…
「おうよ^^」
『学校は?通ってんの?』
「一応な。まだ卒業は出来んが」
電話なんて久々だった。
もう半年は会ってないし、メールも余程の用がないとしてこない奴だ。
非常識ではないと思うから、
こんな時間にわざわざ電話ってことは何か大変なことがあった筈で。
なのに奴はなかなか切り出さない。
相談相手に選ばれたのは光栄だが些か頼りないんだろうか。
もしくは奴の不器用さ故か。
『今は何してんの?』
「ぱそこん。」
『違(笑、バイトとかは?』
「してなーい」
『馬鹿、働けよー』
相談される側のつもりが耳の痛い話だ。
奴は高校を辞めた後、
バイトして一人暮らしをしている筈だ。
馬鹿だが自分より余程社会に適合している。
『ねー…最近なんか考えてる?』
「ん?なんか、ねぇ…なんも考えてないぜ(笑)」
『もうさぁ…どうしたらいいかわかんない…』
くだらない話題で上昇しかけた気持ちが一気に崩れたようだった。
暫し言葉が聞き取れないくらいの泣き声。
変に慰めたりするのは逆効果だと思ったから
なんでもない振りをして相槌を打ち続けた。
『つかなんでこんな時間まで起きてんだよっ』
「うるせー」
お前も同じだろうに。
『いつまで起きてんの?』
「わからんがまだしばらくは寝ない」
『そっか…あとでまた掛け直すかも。』
「そうか、わかった」
『別に寝ててもいいけどね』
「多分起きてんよ」
『んじゃ』
唐突に切れる。
結局何も話さなかった奴。
どうせ半端に電話なんかして後悔してるに違いない。
今夜中には着信はないだろうと思いつつ、
電波のいい窓辺に携帯を置いておく。
奴とつるんでた所為でロクな目には遭わなかったが
奴がいなきゃ乗り切れなかった時期があったんだ。
ぷーたろーで頼りないかもしれんが、
放っといたりは出来ないんだぜ。


しかしまぁ、本当は人一倍寂しがりで構ってちゃんな自分が
昔からよく周りに頼られた。
一人で立ってもいられない自分が。
端から見れば頼り甲斐のある人間なんだろうか。
応えたいとは思うけれど、
なかなかうまくいかない。
共倒れになりそうになったら平気で見捨てるような人間なのに、
それでも頼ってくれる人たちを無下にはしたくないとも思う。
あれこれ全部なんて無理で当然なのに、
なのにすべてを守りたいと思うのは偽善なんだろうか。