あとのまつり


空が云った
「地面に見飽きた時だけ求められても、
僕としてはなんとなく癪だから雨でも降らそうかな」
尤もなので申し訳なくなって下を向いたら
ぽつり、
と地面を濡らしたのは一体何だったか。


海が云った
「どうせ僕の色なんてあの根性曲がりの空の色。
悲しみを洗い流したいだなんて僕の手には余るよ」
どうしてみんなこう意地悪なんだもう
ぽつり、
と吐いた悪態と往復の電車賃を天秤にかける。


君が云った
「いいよわかってる僕は所詮3番目の女!
せめて最初に思い出してくれたら掬ってあげたのに」
それが本当なら僕は学習机の引出しから旅に出るよ
ぽつり、
踏み出した一歩は未来に3cm届かずに。


そうか。
僕は最初から、
ビニールプールの大海を泳ぐ安い金魚だった。
明日の昼には土に還るだけの小さくて赤いアレだよ。
さぁ、救いの手を求める相手は何処に?