テレビの話


あまり好きではないので一人でいる時は点けない。テレビ。
けれど夜になるとつい背景の一つとして必要を感じてしまう。テレビ。
なんでなのか考えてみた。
昼間は頼まなくても音に溢れている。
鳥の声とか。通り過ぎる自転車とか。道路で遊んでる幼稚園児とか。
夜になると、それらが無くなる。
あまり都会ではない住宅街に住んでいるから、
車の通る事も殆んど、無い。
それに蛍光灯では排斥できない暗さが、夜にはある。
光がある分だけ闇がないとバランスが悪いとは思うんですよ。
少しでも明るいと眠れないタチだったりするし。
でも、まだ人びとが眠るには少し早い、
けれど太陽の沈んで暫く経った頃の時間帯は、
何か音がないとひどく孤独感に苛まれたりするもので。


だから僕は、テレビを点ける。
見る気も聞く気も無いので嫌いなタレントが出ていなければなんでもいい。
程よい騒音と中身の無い会話。
それらが心地よいんだと思う。
あの四角い箱(今はうすっぺらい奴が増えてきたけれど我が家のはまだ箱)は、
虚構の世界なのだと。
それでも自分が世界から弾かれている瞬間に、
そういうのが心の拠り所になっちゃったりするんですよ。
多分。


だから僕は、
時々用もないのに電力を消費してしまう。