2006-10-11 fallen words 雨の匂いがした。 夕暮れの雲は茜色、 濡れた翼をはためかせ 青い鳥の飛んでゆく。 何故泣いていたのか。 いつかのだれかを思い出し、 死者を弔う声だけが 虹の彼方に今もきく。 積み重ねた遺骸の その上に生きつつも 傘を差さず歩いた あの雨の日に君と 雲の切れ間の太陽に 眩しくて目を細めては 微笑い、 泣いて、 ひらいた掌に。 小さな灯りは届かずに、 ただいつまでも眺めてた 濡れた雫の滲むのを。