匣舟


覚めないで、醒めないで、
冷たさに丸くなる背を
透きとおる手の平が
ああ
まだ、気付かせないで
膝抱え眠る


泣かないで、泣かないで、
遠い夏の日の約束を
囁いた唇が
ねえ
もう、思い出せないよ
夜は更けてゆく



追いかけて、追いかけて、
想いでは絶えない
遠のいて、遠のいて、
あい色の空へ。


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